<< 進研ゼミの漫画でありがちなこと <<
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福禄寿(ふくろくじゅ) 2007/01/01(月) 08:14:39.78 ID:vAWV9qPv0
大晦日。
わたしはひとり、こたつで本を読んでいました。
年末年始を挟んだ期間は貸し出し日数が延びるので、
ふだんならちょっとてこずるような難しい本に挑むにはぴったりです。
父は実家にお呼ばれ。
母は一週間ほど前、冬至の日、
「これから日一日と延びていく日足とお母さん、どっちが『最速』の名にふさわしいか、
お姉ちゃんと一緒にそこでうらやましそうに指でもくわえて見てなさい!」
といって競走しに家を出て行ったっきり戻ってきません。
まあ、いつものことなので気にはしていませんが。
ふと本から顔を上げると、わたしの向かいで見知らぬ女性がみかんに手をのばしていました。
いくら本を読んでいたとはいえ、誰かが部屋に入れば当然気がつきます。
なのに、いつの間に……
「……誰?」
「あけまして、おめでとうございます♪」
「だから、誰?」
3
福禄寿(ふくろくじゅ) 2007/01/01(月) 08:15:24.18 ID:vAWV9qPv0
女(おちつけ……この手のわけわからん奴はだいたいがお姉ちゃんの知り合いと相場が決まってる)
?(←みかんの皮を自分に向かって絞り、目に入ったようでのたうち苦しんでいる)
女(中学生ぐらいにも見えるし、大人にも見えるな……)
?(←勝手にテレビをつけ、『ゆく年くる年』を見始めた)
女「あの、ひょっとしてお姉ちゃんの知り合いですか?」
?「――あら? なに言ってんの?」
女「……は?」
?「あなたとは毎年会ってるけど?」
女「いやいやいやいやいや。初めて見ましたよ?」
?「――――」(時計を指す)
女「ああ、ちょうど0時を回ったところですね。で?」
?「まだわからない?」
女「…………」
?「はいはいはいはいはい。んもう、相変わらずお堅いんだからぁ。わたしは――」
?「お正月です」
4
福禄寿(ふくろくじゅ) 2007/01/01(月) 08:23:51.51 ID:vAWV9qPv0
女「お姉ちゃーん! ちょっときなさーい! 怒らないからぁー!」
正「うわぁ、シカトされたぁ。初シカト」
女「アンタは黙ってて」
正「はーい――――くすくす」
声「――今、ネトゲしながらY太読んでて忙しーい!」
女「ネトゲは許すとして、新年早々氏賀Y太かよッ!!」
正「初Y太!」
女「いちいち『初』つけなくていい」
正「だってお正月だし」
女「だいたいいつの間にどっからきたのよ」
正「『小夜ふけて 妹(いも)に呼ばるる 初Y太』」
女「一句ひねるなッ」
正「季語は『初Y太』。季節はお正月」
女(間違いない、お姉ちゃんの知り合いだこいつ)
6
福禄寿(ふくろくじゅ) 2007/01/01(月) 08:45:47.96 ID:vAWV9qPv0
正「あらあら、わたしがどこからきたか、見えなかった?」
女「まさかずっとこたつの中に潜んでたんじゃないでしょうね?」
正「そんなことするのはお姉ちゃんぐらいでしょ」
女「……」
正「大丈夫。ザ・ワールド使ったわけじゃないから」
女「使われてたまるか」
正「お正月なんだから、大晦日からきたに決まってるじゃない――くすくす」
女「は?」
正「だから、どこから入ってきてこたつにいるか、じゃなくって」
女「いや、なに言ってんですかアンタ?」
正「12月31日からきて、1月1日にいる――そういうこと」
女「全っ然わかんねぇよ」
7
寿老人(じゅろうじん) 2007/01/01(月) 09:12:06.53 ID:vAWV9qPv0
正「あらゆる非合理的な推論を消去して、最後に残ったものこそが、
いかに理不尽に見えようとも唯一絶対の真実である――――ユリウス・カエサル」
女「なんかシーザーなら言いそうな気もするけど、絶対シーザーの台詞じゃなーい!」
正「そもそも、お正月にお正月がいていけないんなら、わたしはどうすればいいの?」
女「しらねーよ――――ってお姉ちゃん! 早くきなさい!」
声「はーい……って、おまえは先生か! 先生のことを『お母さん』て呼んじゃう奴はいても、
妹と間違う奴はおらんだろ! 常識的に考――」
女「廊下寒いから出たくないだけだな、あいつは……ちょっと引きずってくる」
正「いってらっしゃい」
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寿老人(じゅろうじん) 2007/01/01(月) 09:34:15.32 ID:vAWV9qPv0
女「お姉ちゃん!」(がらっ!)
ノ
(゚Д゚) 姉「…………」
( (7
< ヽ
女「……」
姉「……」
女「……」
姉「…………イェア」
女「…………」
くわっ
女「人が呼んどる時におまえは、またおかしなポーズを決めてたのか? あぁ?」
姉「……」
女「……」
姉「……お姉ちゃん、回ります!」
女「よけいなオプションつけんでいいからちょっとこい」
姉「死ぬ気で回りますから!!」
女「だから回らんでいいッ!!!!」
姉「いやッ! 廊下寒い! 寒いの怖い! トラウマが! あの日の哀しい記憶がよみがえる!!」
女「この人、お姉ちゃんの知り合い?」
正「『初ポーズ 妹猛る 寒夜かな』」
女「Σ (;゚Д゚) アンタもいいかげん何でも『初』つけて一句詠むのやめろ!!」
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寿老人(じゅろうじん) 2007/01/01(月) 09:59:12.04 ID:vAWV9qPv0
姉「……」
正「……」
女「……」
姉「……」
正「……」
女「……」
姉「……」
正「……」
女「……」
ベジータ「……」
姉「……」
正「……」
女「……」
女「Σ (;゚Д゚) ちょっと待て! 今のMハゲ誰だ――っ!?」
正「『初王子 ともに初日を 初礼拝』」
姉「『初』が三つとは、なんというめでたさ――
一句聴いただけでわかった
このお方は正月生まれ、三が日育ち。めでたい奴らはだいたい友達」
正「b グッ」
女「やっぱ知り合いかあ!」
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神所謂ゴッド 2007/01/01(月) 10:20:04.70 ID:vAWV9qPv0
姉「ホントにきてくれたんだ」
女「やっぱお姉ちゃんの知り合い?」
姉「クリスマスにサンタさんが来るでしょ?」
女「そういう言い伝えはあるけど」
姉「あんた、ちっちゃい頃『サンタさんに会いたい、サンタさんに会いたい』って言ってたじゃん」
女「ちっちゃい子なら言うでしょ」
姉「あんたはお母さんと違っていつもいい子だから、お姉ちゃん、会わせてあげたいと思って」
女「自分と比較する気はないんだ、このクソ姉……」
姉「でもね、サンタさんにお願いしようと思ったら、もう27日で」
女「回線切って死なない程度に首つってろ。ネトゲだか2ちゃんだかに入り浸りすぎだ」
姉「だからお姉ちゃん、次善の策として、お正月さんにきてもらおうとお願いしたのよ」
女「よくわからん理屈だ!」
正「毎年きてるんだけどね。あんまりお姉さんが熱心なもんだから、特別に姿を見せてみました」
ヘ○ヘ
|∧ 姉「至誠、天に通ず!」
/
女「ポーズと台詞があってないよ」
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神所謂ゴッド 2007/01/01(月) 10:41:08.80 ID:vAWV9qPv0
正「というわけで、お正月の間、いるから」
女「いや、アンタこのバカ姉の知り合いだろ?」
正「毎年きてるから、知り合いといえば知り合いだし、ま、それでもいいけどね……くすくす」
女「ったく……お姉ちゃんが面倒なんか見るわけないんだから、結局わたしが……」
正「わたしはペットか何かなのかなぁ~?」
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2Get!! 2007/01/01(月) 11:03:38.67 ID:vAWV9qPv0
正「大晦日の新聞見てるとね。いつもドキドキするのの」
女「何が?」
正「テレビ欄。『ゆく年くる年』が『ゆく年』だけになってたら、わたしは明日どうなるんだろうって」
女「お姉ちゃーん! ボンタンむいたけどいるー?」
正「『初ボンタン 囲む夕べに 囲炉裏の火』」
女「詠むなッ! そしてアンタはロッキーのテーマを口ずさみつつ踊りながらくるなッ!!」
21
2Get!! 2007/01/01(月) 11:10:15.00 ID:vAWV9qPv0
正「もーいーくつねーるーとーぉ おーしょーおーがーつーぅ♪」
女「Σ (;゚Д゚) お正月にお正月がなに歌ってんだっ!?」
22
2Get!! 2007/01/01(月) 11:15:32.19 ID:vAWV9qPv0
女「盆と正月が一度にきたような……っていうじゃん?」
正「そうですね」
女「できればお正月とクリスマスが一緒のほうがいいと思うんだけど」
正「……」
女「だって今の人じゃ、お盆よりクリスマスのほうがしっくりくると思――」
正「――れ」
女「え?」
正「黙れ……貴様に何がわかる」
女「あの……?」
正「クリスマスと一緒だとッ!? その口かッ! 減らず口を叩くのはその口かぁっ!!」
女「ひッ――――」
正「……」
女「……」
正「……」
女「……」
正「あ……ごめん。つい、取り乱しちゃって」
女「は、はぁ……(何があったんだ? この人とクリスマスの間に、いったい何が)」
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2Get!! 2007/01/01(月) 11:35:36.92 ID:vAWV9qPv0
女「で、名前は?」
正「お正月ですけどー?」
女「あくまでそれで通すか……」
正「金正月です」
女「Σ (;゚Д゚) どっかの誰かの双子の兄弟みたいな名前だ!?」
正「……冗談ですよ?」
女「わかっとるわい」
25
2Get!! 2007/01/01(月) 11:56:57.25 ID:vAWV9qPv0
正「『初』をつけなくても、お正月の季語で一句詠めることは詠めるんだけどね」
女「いや、だからそもそも詠まなくていいよ」
正「『正月や 冥土の旅の 一里塚』」
女「……」
正「……」
女「確かに季語はお正月だけどさ」
正「昔はお正月で年齢を一つ、カウントしてたから。新年ごとに死が近づくと――」
女「しってるよ……で」
正「で?」
女「これが不吉すぎることと、一休さんの句だってことと、どっちを突っ込んだらいいわけ?」
正「お餅には注意しないとねぇ……くすくす」
女「Σ (;゚Д゚) そういう意味で詠んだんじゃないと思うよ、一休さんは!?」
女「いや……でも一休さんだしなあ……」
正「『初疑問 かくて暮れ行く 初日かな』」
女「なんでお正月に一日中そんな哀しいこと考え続けなきゃならんのよ!?」
29
年賀状(来なかった) 2007/01/01(月) 12:19:31.55 ID:vAWV9qPv0
姉「『正月や メイドの旅の 一里塚』」
女「いや、意味がわかんない」
正「はっはっはっ。萌えるほうを想像したおまえは――」
女「いや、だからもともとそういう意味だって知ってるから」
正「……」
姉「……」
女「なによ」
正「これだから真面目ちゃんは……」
姉「ねーぇ?」
女「もう帰れよ、アンタら!」
正「三が日は帰りませんよ? くすくす」
姉「Σ (;゚Д゚) エエー! 今から有明に帰れと!?」
女「もうアンタ、次のコミケに行ってそのまま帰ってこなくていいよ」
女「っつか、アンタの家はここじゃなくて聖地なんかい……」
30
年賀状(来なかった) 2007/01/01(月) 12:38:18.82 ID:vAWV9qPv0
正「お正月といえば!」
姉「お年玉ー!」
正「どんどんどんぱーふーぱーふー!」
女「……くれるの?」
正「いえ、わたしはお正月として、正月行事が起こるべくして起こるよう、手配するだけです」
姉「(・∀・)カエレ!」
女「Σ (;゚Д゚) 自分で呼んどいて何だその失礼きわまる言い草は――っ!」
姉「……」
女「……なによ」
姉「(・∀・)ヨコセ!」
女「Σ (;゚Д゚) アンタそれで姉として恥じることは何もないのか――っ!?」
姉「うん…………(///////////)」
女「……」
姉「イヤッ! 見ないで! (*ノノ)キャッ」
女「くっ……ごみの日は五日か……あと4日、こいつと……」
正「『正月の 骸よさらば 初ゴミ出し』」
女「アンタはあと二日だな」
正「『骸よさらば』じゃなく『垢ぞ落ちたり』のほうがいいかな?」
女「しらねーよ」
正「お正月の間に出たゴミと一緒に、お正月気分もさようなら――って意味を込めて詠んでみたんだけど」
女「今すぐ帰れッ! (゚Д゚)ゴルァ!」
32
年賀状(来なかった) 2007/01/01(月) 12:49:38.87 ID:vAWV9qPv0
姉「ただいまんこ」
女「おかえりんこ」
姉「お年玉もらってきた」
女「Σ (;゚Д゚) マジでッ!?」
姉「おとなりで」
女(お姉ちゃんの彼氏さんか……新年早々、かわいそうに)
姉「フッフッフッ。このポチ袋の中身こそが、お姉ちゃんとあんたの人間としての器の差なのだよ」
女「ああそう(なんかジャラジャラいってるけど、小銭?)」
姉「じゃーん!」
じゃらじゃらじゃら
女(マジで小銭だ……)
姉「えーと……さんびゃく……にじゅう……きゅう円……」
女「……」
姉「……」
女「……」
姉「だーれが……」
女「……」
姉「こーろしたクックロービン……」
女「……」
姉「わたしは……」
女「……」
姉「パタリロかああああ!!!!!11」
女(財布の中でだぶついてた小銭だろうな、きっと)
姉「小銭で喜ぶ女と思うたかああああ!!」
女(喜んで帰ってきたくせに……)
33
年賀状(来なかった) 2007/01/01(月) 12:55:11.05 ID:vAWV9qPv0
姉「まあいいや。金は金」(袋に戻す)
ひょい
姉「あ」
正「じゃあお年玉はお母さんが貯金しておいてあげるからねー」
姉「ちょwwwww」
正「どーせぱぱーっと801本だかエロゲだか買いあさってなくなっちゃうんでしょ?」
女(図星だ……)
正「……ほいっ」(ポチ袋、消失)
女「うーん、まさに『お正月』の光景……」
姉「返せー! 返せー!」
34
年賀状(二枚) 2007/01/01(月) 13:15:25.91 ID:vAWV9qPv0
姉「おせち」
女「おせち②[《御節》] 正月・五節句などに使う料理。おせち料理④。」
姉「あんたどこの辞書だ! おせち料理はどこだ!」
女「作ってないよそんなもん。しちめんどくさい」
姉「お姉ちゃんに飢えて死ねと!」
女「無駄に材料高くてぼったくられるだけじゃない。ひじきの煮物とお味噌汁あるよ」
姉「おーせーちー! 栗きんとん! 海苔巻き! 唐揚げ! 海老! かまぼこ!」
女「作って作れないことはないけど、お姉ちゃん、邪魔するじゃない」
姉「もういい! あんたとは子弟の縁を切る!」
女「はいはい。きーれた」
姉「フッフッフッ。だが今年はお正月がいる。おせちは思いのままよ! カモン、おせち!」
正「……あ?」(Wiiのコントローラーをぶん回していた)
女(ある意味、典型的な正月の過ごしかたしてるよこの人……)
姉「あんた、お正月でしょ? おせち作ってよ」
正「無理」
姉「Σ (; Д ) ゚ ゚」
正「あれは『年末』の領分だから。あと360日ほどしたらくると思うから、頼むだけ頼んどこうか?」
姉「ば…………バカァ――――ッ!!!!!!!!!11」(だっ!)
女「あーあ……まぁたおとなりさんに上がりこむ気だ」
35
年賀状(二枚) 2007/01/01(月) 13:16:37.83 ID:vAWV9qPv0
女「……」
女「……ふぅ」
正『なんだかんだいって、お正月から入り浸れる男がいる姉がちょっぴりうらやましい吉宗であった』
女「うるさいな」
正「『初デート 見送る肩に 冬の風』」
女「わびしいもん詠むなッ!」
正「『同人誌 散らばる中に 寝正月』ってのも用意してたんだけど、使ったのはこっちか……」
女「Σ (;゚Д゚) 負けたの!? わたし、アレに惨敗を喫しちゃったのッ!?」
38
年賀状(二枚) 2007/01/01(月) 13:38:58.96 ID:vAWV9qPv0
正「初詣、行かないの?」
女「別に」
正「えー? せっかくお正月と一緒にいるんだし、行こうよ」
女「本読んでるんだけど?」
正「ははーん。お姉ちゃんには一応彼氏いるのに、自分にはいないから虚しいんでしょ?」
女「……」
正「……」
女「……」
正「……はッ!?」
女「?」
正「『独り居て 詣でることなく 初籠り』」
女「行きゃいいんでしょ、行きゃっ!」
40
年賀状(♂だらけ) 2007/01/01(月) 14:03:10.40 ID:vAWV9qPv0
女「支度でき――」
正「おそーい」
女「ちょ……その振袖はどこから? って、10分も経ってないのに?」
正「わたし、お正月ですから!」
女「もういい……」
正「? さ、行きましょ。近所の天神さんでいいよね?」
女「あ、うん……」
渡辺さん「あれれー? わたしの振袖がないよぉ?」
正「『初失せや 雪に溶け入る あれれかな』」
女「は?」
正「いや、別に」
42
年賀状(♂だらけ) 2007/01/01(月) 14:24:26.88 ID:vAWV9qPv0
初詣道中~
女「あ。凧揚げだぁ」
正「あらあら。珍しい」
女「たしかに、最近あんまり見ないよね」
正「凧といえば」
ぶわっ…………
女「Σ (;゚Д゚) 凧っ!? どっから出した!?」
正「わたし、お正月だから。お正月のものならなんだって持ってるよ?」
女「どういう奇術師だ……」
正「そう、奇術。三が日だけの奇跡。そぉれ!」
女「おー、うまいうまい」
正「お正月ですから。そして、見知らぬお子さまの凧に攻撃!」
女「Σ (;゚Д゚) いや、アタックは駄目だー!!!!!!!」
正「む、よけた。現代っ子のくせに」
女「言いがかりはやめい」
正「お正月の間はずっとわたしのターン! 見知らぬお子さまにダイレクトアタック!」
女「本人にぶつかるな! ガキかアンタは!」
正「いや、喧嘩凧……」
女「見知らぬお子さまは同意しとらーん!」
43
年賀状(♂だらけ) 2007/01/01(月) 14:50:28.95 ID:vAWV9qPv0
その頃。おとなりさん~
∧ ∧
(・∀ ・) 姉「シンプル2000シリーズ『ザ・おせち』!」
(ヽ ノ)
< >
男「人んちに上がりこんでけったいなポーズ決めて何を言っとるかな、きみは」
姉「いまこの家にある材料で、おせち料理を作りなさい」
男「厄介料ならさっきやっただろ」
姉「(*ノノ)キャッ」
男「いや、そこは怒るところな?」
姉「おせちが食べたいのです。なのにお正月は年末に責任転嫁し、愚妹はこたつの中でも冷たいのです」
男「なにわけのわからんことを」
姉「さっきの329円でわたしを騙せたと思ったら大間違いだ!」
男「みごとに騙されてたじゃん」
姉「そんなわたしは『去年』と一緒に年の彼方」
男「年の頭にそんなこという奴なんておまえぐらいだよ……ああ、もう!」
姉「作ってくれる?」
男「作るから! 玉子焼きと栗きんとんのきんとんと唐揚げぐらいなら!」
姉「よーし、じゃあお手伝い張り切っちゃうぞー!」
男「おまえは向こうでジョジョ立ちでも練習してろッ! 邪魔しかせんだろ!」
姉「はーい」
46
年賀状(♀から沢山) 2007/01/01(月) 15:03:47.25 ID:vAWV9qPv0
姉「……」
姉「……」
姉「……」
ぴっぽっぱっ
とるるるるるる
姉「お正月からやってたよねー? 出前できるー? おせちー」
姉「……」
姉「じゃーあー、その三が日定食でもいい~」
姉「うん~。おとなりさんに持ってきて~。一人前ねー。うーんー。わたしの分~」
姉「じゃ~ね~」
がちゃ
姉「ふう……やれやれだz――」
メメタァ!
男「ぶっ殺すぞ貴様ッ!」
正「『我のほか 食う人もなし 初包丁』」
女「どしたの、急に虚しい一句ひねって?」
正「別に……人がいても成り立つところが哀しいとこよね。くすくす」
49
年賀状(♀から沢山) 2007/01/01(月) 15:26:20.10 ID:vAWV9qPv0
初詣道中~
女「ほーう。郵便配達のバイト君たちはチャリで頑張るねー。クソ姉に見習わせたい」
正「年賀状かぁ。書いた?」
女「お姉ちゃんなら腐臭ぷんぷんの年賀状描きまくってたけどね」
正「配達する人とか、仕分けしてる人とか、ちゃーんと見てんだよね、あれ」
女「そりゃはがきなんだし見ようと思ったら見えるだろうけど……見られてんの?」
正「わたしはたとえお正月以外の日でも、お正月関連の出来事なら何だってお見通しなのです」
女「……まあ、お姉ちゃんがああゆう人だってのは知り合いならみんな知ってることだし」
正「あなたは? 年賀状、描いた?」
女「普通に書いたよ」
正「……ちぇっ」
女「いま何を舌打ちしたアンタ……」
50
年賀状(♀から沢山) 2007/01/01(月) 15:38:02.83 ID:vAWV9qPv0
女「案外人いるんだ、神社」
正「天神さんだからね。受験生もいるんでしょ」
女「テレビで見るようないかれた人出に比べりゃ、なんってこともないけど」
正「じゃあ、お参りしてこようか。二礼二拍一礼ね」
女「お正月がお正月に何を祈るのよ」
正「来年もお正月がきますように――」
女「Σ (;゚Д゚) 縁起でもねぇ願いごとだなオイ!」
正「ん? お正月にとっちゃ、けっこう切実だよ?」
女「いや、くるでしょ?」
正「……」
女「……」
正「……」
女「……くるよね?」
正「……」
女「なんとか言えッ!!」
51
年賀状(♀から沢山) 2007/01/01(月) 15:48:45.74 ID:vAWV9qPv0
女「おみくじでも引こっか」
正「そうですね」
女「ちょっと訊くけど、アンタが引いて大凶だったら……」
正「一年の頭たるお正月の運勢が大凶なら、今年一年最悪ですね」
女「……」
正「おや、わたしがお正月だと認めましたか?」
女「引きたきゃ引きゃいいじゃない……」
正「妹さん、ツンデレ? くすくす」
女「Σ (;゚Д゚) わたしがいつアンタにデレたぁ?」
正「一回百円か……」(賽銭箱の横に手をかざす)「……よっと」
女「! 百円……っ」
正「初詣のお賽銭は、『お正月』という『時間』を貸してあげているわたしにも取り分があるはずでしょ?」
女「いやいやいやいやいや、どうやって抜いたのか知らないけど、泥棒じゃん! 百円でも!」
正「お堅いなあ……はいはい。返しますよ」(ちゃりん)
52
年賀状(♀から沢山) 2007/01/01(月) 15:49:33.97 ID:vAWV9qPv0
女「だいたいお正月なら、おみくじぐらい出せるんじゃないの?」
正「あー」(ぽんっ)
女「出せるじゃん! 最初っからそうしろ!」
正「自分で出すと全部――」
女「大吉にしちゃうの?」
正「いや。わたしが一年を全部決めちゃうのもあとあと問題なんで」
ぴら
正「吉とか凶じゃなく、どうとでもとれることばにしてる」
女「……『信』?」
正「あと、『義』『礼』『智』『徳』とか」
女「Σ (;゚Д゚) 冠位十二階!」
54
年賀状(ユニクロからだけ) 2007/01/01(月) 16:08:59.69 ID:vAWV9qPv0
【待ち人】こちらから行けば確実です。待ち合わせしなければもっと確実です。
【失せもの】なくさなければよいのです。持たなければもっとよいのです。
【紫蘇】夏バテに紫蘇ジュース。クエン酸を入れすぎるとにがくなるので注意。
【恋愛】恋は下心、愛は真心。快いのは左心。
【家庭】結婚するから離婚するんじゃないの みつを
【同人】新たなプレイを開拓する年。三次で試してくれる人を大切に。
【旅行】保険証は忘れずに。出かけなければなおよろし。
【病気】死なない限り、人は生きるものです。生まれなければなおよろし。
女「なに、このおみくじ……っていうか、おみくじ?」
正「だから、どうとでも取れるように」
女「やっぱお姉ちゃんの知り合いだろアンタ!」
55
年賀状(ユニクロからだけ) 2007/01/01(月) 16:31:11.44 ID:vAWV9qPv0
女「あ、巫女さんが甘酒配ってる」
正「お正月のバイトですね」
女「だね。ふだんはここ、お祭りのとき以外は無人だし」
正「寒そうなかっこ――――くすくす」
女「Σ (;゚Д゚) 自分の日に自分のためにやってくれてるんだろうが! 失礼な奴だなアンタ!」
正「甘酒ちょーだーい!」
女「しかも図々しいな」
正「はい、あなたの分も」
女「……」
正「わたしがもらいます」
女「……オイ。どこまで女王さまなんだアンタは」
正「お正月にぃ! お正月が女王さまでなにがわりゅいってのにょろ~!」
女「Σ (;゚Д゚) 甘酒一杯で酔ったよ、このお方!」
正「『初酔いの 朱と並び居たる 朱(あけ)の巫女』」
女「Σ (;゚Д゚) 一見なんか風流っぽいけど、酔っ払いが巫女さんに絡んでるだけじゃねーか!」
正「……かりゃめばいいのかーっ!」
女「絡まんでいい!」
56
年賀状(ユニクロからだけ) 2007/01/01(月) 16:47:28.46 ID:vAWV9qPv0
正「さて、酔いもさめたところで」
女「早いよ!」
正「あらあら、わたしが甘酒程度で酔っ払ったとでも思ってたの?」
女「ほかに何に酔ってたんだよ」
正「お正月気分」
女「……」
正「お正月は『ハレ』の日だから、当然、お正月たるわたしは常にハジけてますが」
女「もういいよ……」
57
年賀状(配ってます) 2007/01/01(月) 17:05:26.39 ID:vAWV9qPv0
姉「お正月かあ。正月スレ乱立したいなあ」
女「一年の計は元旦にありとは言うけれど、それがアンタの一年か……」
正「まさか全部おなじスレタイで乱立する気じゃないでしょうね?」
女「止めろよ、アンタも」
正「『VIP落つ ひねもすのたり 初なす板』」
女「Σ (;゚Д゚) 落とすこと前提かよ! たち悪いぞクソ正月!!」
姉「違うスレタイで300から400ぐらいかぁ」
女「具体的に考えんでいい」
正「これがほんとの一富士二鷹三『なす』び」
女「ちげーよ!」
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年賀状(配ってます) 2007/01/01(月) 17:14:05.27 ID:vAWV9qPv0
正「ところで、お正月は一日よね?」
女「あたりまえじゃん」
正「毎月一日、!omikujiスレってあるじゃない?」
姉「うん」
正「今年はイノシシ年だけど、中国じゃ猪って豚のことなんだよね」
姉「!」
正「今年一年は、『みんなで豚を称えるスレ』になるよね」
姉「それだああああああああ!!」(だっ!)
女「……」
正「……」
女「まぁたしょうもないこと言ってお姉ちゃんそそのかして」
正「お正月として当然のアドバイスをしたまでだけどね」
声「うおおおおお! 女神しかでねえ! 二回連続女神だとぅ!? 死ね! 女神死ね!!」
女「なんか間違ってるような気がするなあ」
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年賀状(配ってます) 2007/01/01(月) 17:16:26.83 ID:vAWV9qPv0
正「では、年の初めに歯固めといきますか」
女「はがため?」
正「簡単に言えば、固いものかじって、今年も一年、歯が丈夫でありますように……って」
女「なるほど」
姉「じゃあお姉ちゃん、ひよこ鑑定士鑑定士になる!」
女「……」
姉「ひよこ鑑定士がほんとにひよこのオスメス判定できてるのかを判定する国家資格で……」
女「……」
姉「えーんえーん。めでたい正月なのに、妹がお姉ちゃんをボケ殺しにするー」
正「あらあら。駄目な妹さんねぇ。くすくす」
女「まず、かじりたいものをあげてから徐々にそのボケに持ってくでしょ、常識的に考えて……」
正「『寒風や 初ボケ殺し 氷柱落つ』」
女「いちいち詠むなよ……」
正「せっかくのボケを無視された衝撃を、落ちて砕ける氷柱にたとえてみました」
女「たとえんでいい!」
正「すべったボケの寒さの象徴である氷柱が、ボケ殺しの象徴である寒風に――」
女「解説せんでいい!」
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年賀状(配ってます) 2007/01/01(月) 17:32:58.91 ID:vAWV9qPv0
女「で、うちに泊まってく気?」
正「三が日はいるよ、そりゃあ」
女「とりあえず、お姉ちゃんの部屋で寝てよね、一緒に」
正「はいはい」
女「外から鍵がかかるの、あそこだけだから」
正「あらあら。すっかり危険人物隔離ルームねぇ」
女「なに? 不満でも? 赤の他人を泊めてあげるだけでもありがたいと思ってよ」
姉「その言い方はないんじゃない?」
女「いや、アンタの客だろ、こいつは」
姉「……」
女「なに? 急にまじめな顔して」
姉「そっか……あんたはまだ小さかったから覚えてないんだよね」
女「は?」
姉「いや、いい。別にいいよ。今夜はお姉ちゃんが独り占めするから」
正「あ、別にわたし、亡くなったおばあちゃんだとかそんなオチじゃありませんし。お正月ですから」
姉「Σ (;゚Д゚) 言うなよ! 4日にばらしておちょくりたかったのに!」
女「……お姉ちゃん?」
姉「OKOK まあ待て妹者 時に落ち着――――あじゃぱー」
正「『初ふざけ 春も微笑む 姉妹かな』」
女「詠むなッ!」
正「なかよし姉妹のほほえましさに、寒中でありながら一足早く春も笑い出す、という意味の――」
女「二人とも隔離してやるからとっととこいッ!」
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年賀状(配ってます) 2007/01/01(月) 17:49:08.76 ID:vAWV9qPv0
正「初夢、見た?」
女「見てないけど」
正「それはいけません。お正月として放ってはおけない一大事。一刻を争う容体」
女「死ぬんですか、初夢見ない人は?」
正「知り合いに獏がいます。お正月中はわたしの意のままです」
女「いや、食わしてどうするよ」
正「いい夢の守り神でもあるんだよ? 大丈夫、いい夢、見させてあげるから」
姉「(*ノノ)キャッ」
正「そういう意味の『いい夢』じゃないよ」
姉「じゃ――」
正「スト一分のいい夢でもないし」
姉「ママー! こいつ、わるいやつー!」
女「気に障ったんなら、殺さない程度なら殴ってもいいよ、こいつ」
正「獏は庭にいるから」
女「は?」
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年賀状(配ってます) 2007/01/01(月) 17:49:55.57 ID:vAWV9qPv0
庭~
女「……」
獣「……」
女「いたよ……(模様からしてマレーバクかそのあたり?)」
獏「……」(庭木を悠然と喰らっている)
女「……おい」
獏「あ……いや、自分、獏ですから。草食ですから」
女「草食動物なら、肉は不味くないよね?」
獏「ちょwwwいや、亜熱帯からわざわざきたんですよ?」
女「獏がしゃべるか! なんて初夢だよ。こんなのを屠る夢だなんて――」
獏「屠るって、おまwww 落ち着け! 不味いから!
インキュバス(男夢魔)の足の裏の臭いみたいな味するから!
腹下しますよ? お正月、病院開いてますか?」
女「やかましい――――ッ!!」
獏「あ――――――――――――っ!!」
女「……」
女「うぇ……寝起き、気分最悪……」
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年賀状(お年玉つきでよろ) 2007/01/01(月) 18:21:50.97 ID:vAWV9qPv0
正「じゃあ描こうか」
女「なに、急に?」
正「獏が不満なようなんで、めでたいめでたい宝船の絵でも描きます」
女「はじめっからそうしろ。もう初夢じゃないけど」
姉「はいはーい! お姉ちゃんも描くー!」
女「……同人誌じゃなくて、枕の下に入れる初夢用の絵だよ?」
姉「テニプリでいいー?」
女「Σ (;゚Д゚) 聞けよ!」
姉「寿司屋『アアーッ!! 波動球が俺の『コート』に! 激しい! 激しすぎるゥ!!』
ゲーハ『フフ……百八までおまえの『ラケット』はもつかな?』」
女「Σ (;゚Д゚) 四天宝寺のゲハ、絶倫すぎだろーっ!?」
姉「お姉ちゃんの新春童話についてこられる愚妹ったら、カッワイ~ィ ( *´∀`*)σ゙」
女「…………ッ!!!!!!!!!!!111111111」
女「801本は全部ちり紙交換に出すから」
姉「待って! せめて下取りに!」
新春ジャンル「お正月」 の続き
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- 2007/01/04(木) 03:53|
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